二連バルーン装置の発明記1 新しい一歩を歩みだそう!

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昨日のテレビ番組で飛行させた新型装置はこんな装置でした。

2連バルーン装置

2連バルーン装置

あたかも、これまでの装置を2つ並べたような形状をしています。

この新型装置を、2連バルーンと呼ぶことにしましょう。

この2連バルーン装置開発の理由、それは、今後のさらなる大型化と将来に向けた有人化に関する試験でした。

これまでの装置では、とりわけ有人化に関して、大きな課題がありました。そして、これまでの装置では本質的に解消できない問題があったからこそ、この2連バルーン装置を発明したのでした。

過去の装置の最大の問題は、装置の安定性でした。

バルーンを上空に放ってから、暴れまわってしまっていたのです。

安定させられないこと、これまでずっと超えられない大きな問題として抱え続けていました。

これまでの装置

これまでの装置

装置の揺れ問題は、初期のころから付きまとっていました。

以下の動画は2013年の初日の出を撮影したものです。

随分と回転しているように見えますが、これでも比較的回転が穏やかな個所を繋ぎ合わせて動画にしていました。以前は撮影するだけで精一杯だったのです。

それから数年、回転に対する色々な原因を考え、安定化をさせるための装置を開発したりすることで対策を施しました。

以下は2016年の秋に打上した装置で撮影した動画です。

ベネッセさまの進研ゼミ小学講座の企画として実施しました。


以前よりは回転がだいぶ穏やかになり、上空ではそれほど回転が気にならない程度まで穏やかになりました。

しかしながら、私としては打上直後の回転はまで安定させたかったのです。

しかし、様々な安定化装置を搭載しても、大気状態が不安定であったり、自由状態になるまでの解放時のエネルギーを発散させることが出来なかったりと、依然問題がありました。

 

どうしてこのような揺れが生じてしまうのでしょうか。

簡単に言ってしまうと、バルーンにカメラなどが入った重りが釣り下がっている状態です。

この場合発生する揺れは、振子運動ではありません。

二重振り子運動です。なぜ、二重振り子になるかというと、バルーンは重さを持っています。一方吊るしている装置も重さを持っています。

どちらか一方が地面にくっついていれば(固定端になっていれば)、振子運動になるのですが、両方とも自由な状態なので、振子に振子がくっついた状態になるのです。

振り子に振子を重ねると、こんな運動になります。

二重振り子運動(引用:Wikipedia)

二重振り子運動(引用:Wikipedia)

カオスですね。

でも、これは二次元の二重振り子運動です。

バルーンの場合は3次元の二重振り子運動になりますから、さらにカオスです。(ちなみに、この現象、カオス現象といいます)

二重振り子運動は、制御が極めて難しいのです。

ですので、根本的に二重振り子運動が生まれない形状にする必要を考えたのです。

そこで考えたのが2連バルーン装置でした。

そこで、2連バルーン装置

そこで、2連バルーン装置

このような形状にすることで、カメラなどの機材を搭載した装置側が、見かけ上の固定端として働くのではなかろうか、と考えたのでした。

この発想から開発が始まりました。

最初、想像図を描いてみて、気付かされました。

2連バルーン装置 概念図

2連バルーン装置 概念図

単にこれまでの装置を繋げる、というのとは、まったく訳が違うぞ、と。

分からないこと尽くしです。

これまでより遥かに難しく、分からないことだらけです。

パット思い浮かんだことを列挙しても、

 

・軸の長さ、太さはどのくらいか、素材は何か

・軸の固定具の形状、強度、サイズ、素材はどうすべきか

・吊り方は固定か、多少揺れるようにした方が良いか、それぞれの問題は何か

・パラシュートはどこにつければよいか

・バルーンと軸の接続方法はどうすればいいか

・バルーン同士の干渉はしないか した場合どうなるか

・カメラ機材を軸のどこに吊るさげるか 下げ位置による振動発生問題

・アンテナ配置はどこにつければよいか

・バルーンが両方同時破裂はすることがないので、落下は機械制御であるが、どうすればよいか

・落下中の姿勢はどうするか

・緊急時の安全の確保をいかようにするか

 

と、根本的でかつ、本質的な問題が山ほど出てきました。

これはかなり大変な実験になりそうだ、と思いましたが、しかし、ここから先は新しい世界です。

これを乗り越えたら得られる検証データは膨大です。さらなる装置開発、さらなる研究に大いに役立つことでしょう。

結局のところ、約半年の2連バルーン装置のチャレンジ得られた検証データは、過去3年の研究開発で得られたものに等しいほど、大量の成果を得ることができました。

しかし、それには、相応の苦労や苦悩がありました。

こうして、新たなチャレンジに向けて、解析や検証、実験の計画を立て歩み出したのです。

 

長くなってしまいましたので、続きは次回以降で連載していきます!

次回も読んでいただけたら嬉しいです。

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About Author

岩谷圭介

私は日本人で初めて、独力で宇宙開発を成功させました。私の行っている風船宇宙撮影を通して、より多くの人に、宇宙をもっと身近に、そして夢はすぐそこに広がっていることを実感してもらいたいと思っています。

5 Comments

  1. 岩谷さん、よくユーチューブの動画を見させて頂いています。岩谷さんの動画を見て、僕もバルーンを飛ばしてみたいと思いました。質問なんですが、中間圏や熱圏にバルーンを送り込むことは可能でしょうか。また可能な場合どのような方法で行えば良いでしょうか。教えていただけますか?

    • 岩谷圭介

      魁王丸さま、コメントいただきありがとうございます。
      中間圏に関してはすでに実現しています。JAXAの大気球が53kmの高度に到達していて、これは中間圏の下層です。
      この時使用したバルーンが直径100m、東京ドームサイズのものでした。
      熱圏は現在の技術ではまだ実現できていませんが、今後より軽く強靭な新素材を作り上げていくことでいずれ可能になるだろうと予測されています。
      きっと直径数百メートルから1キロメートルの超大気球が製造されるのだろうと思います。
      バルーンで高度100kmを超える日も、いずれやってくるかもしれません。
      これらはだいぶ大型なプロジェクトで、さらに基礎的な技術がまだまだ足りていないので、まずは基礎技術の研究が必要です。
      経営の勉強をしてバルーンの一大プロジェクトを立ち上げるのも一つ道です。宇宙開発機構に入るのも一つ道です。色々道はあります。
      これまで人類が成してていないことなので、相応の努力が必要になることですが、参考にしてみてください。

  2. 引き続き質問させていただきます。
    17フィート(493㌢)のバルーンが市販最大っぽいのですが、
    この大きさだとどのぐらいまで上がりますか?

    • 岩谷圭介

      おもり(ペイロード)を何グラムつけるかで、上昇する高度と速度が変わってきます。
      ご自身で計算してほしいのですが(自身で計算できないと飛ばせないので)、その風船を使って、まったくなにもつけない場合でも15000m程度までは上がりそうな感じです。
      バルーンが小さいので、数十グラムの重りを付けただけで到達高度は低くなり、上昇時間も遅くなります。
      ぜひご自身で計算してみてください。

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