風船に装置を取り付けて飛ばすと、上空で風船が破裂します。
風船を失った装置は、そのまま地球の重力に引かれて落下してきます。
落下の速度がどの程度になるかは、回収の観点からも、安全性の観点からも極めて重要です。
落下速度が分からないと、どこに落ちるか分からなくなります。
分からないのは、きわめて危険なことです。落下速度を割り出すことは、宇宙撮影において、最重要ポイントです。
なんとなく、このくらいのパラシュートを使えばいいかな? という認識で実施すると大変なことになります。
人を傷付けたり、最悪の場合殺してしまうかもしれません。そうならないように、しっかりとした安全設計と、落下速度の計算が重要なのです。
計算の仕方
風船の打上に当たって、物理の計算が必要になります。
落下する物体は空気抵抗を受けます。
空気抵抗を受けて落下する物体の式は以下の通りになります。
mが質量
gは重力加速度
Dは抵抗です。
重力加速度は地上と同じもので構いません。というのは、上空30kmの重力の値は地上とほぼ同じです。簡単のため、同じ値を使いましょう。
Dは以下のようにあらわすことができます。
Cdは空気抵抗係数
ρは密度
vは速度
Sは落下物体の落下方向に対する断面積です。
抵抗係数Cd値は、物体の形状に依存します。Cd値の求め方はGoogle検索などして代入して下さい。
以上の式から地上に到達するときの落下速度を求めます。
空気中を落下する物体は、空気抵抗により、一定速度以上速度を出すことができません。
これを終端速度と言います。
速度が上昇しないということは、加速しないということですから、
ということです。
ですので、これを先の式に入れて上げると、となりますので、減速装置のサイズを代入してあげることで、落下速度を計算することができます。
計算した後は実験を!
落下速度は6~8m/s程度に抑えないと、危険で、かつ機体が落下衝撃で粉々になってしまいます。
安全のためにも、必ず落下速度を計算してください。
そして、実験を行い計算通りいくかどうか、必ず検証してください。
実験と計算は往々にして結果が異なります。
十分な安全を確認したのち実施してくださいね。
参考資料
埼玉工業大学の終端速度についてのレポートがとても分かりやすかったので、参考のためリンクを掲載いたします。
http://www.sit.ac.jp/user/konishi/JPN/L_Support/SupportPDF/TerminalVelocity.pdf
1件のコメント
Pingback: スペースバルーンの作り方 | ふうせん宇宙撮影