ふうせん宇宙撮影で使用している、宇宙パラシュート。これは上空から安全に降下するための装置です。誰もが手に入れることができる、一般的な材料を利用しています。
一般的な材料といえども、思い付きで使っているのではありません。極限環境で使用できるかどうかをテストして、それにクリアする材料を組み合わせて作り上げています。なので、なじみある材料でも宇宙開発に使えるんです。
この宇宙パラシュート。これまで講演会で工作教室を行ってきました。
この講演会ではパラシュートづくりをするのですが、目的はパラシュートを作ることではありません。
その目的は、失敗すること、工夫することを体験してもらうことです。
工作教室では、パラシュートの設計図が配布されます。
これ、文字なしで年齢に関係なく読むことができる利点があるのですが、同時に文字なしのために不親切になっています。
この不親切さが、工作教室の重要な部分です。
パラシュート設計図は、JAXA宇宙教育センターよりダウンロードできます↓
http://edu.jaxa.jp/materialDB/detail/79201
http://edu.jaxa.jp/materialDB/downloadfile/79201.pdf
言語を使わない目的として、文字で追いかけることで見落としてしまうことに気付いて欲 しいという意図も含めています。
文字がないので、どうしてその作業をしなくてはいけな いのかを考えてもらうことができるのです。何を目的に作業するのか、その作業が何に繋 がるのかを考えてもらうためには、言語は不要だったのです。
そして、この設計図は、あえて要所要所で不親切な個所が含まれています。
そのため、設 計図通り作ろうとすると、なかなか作り上がらないのです。
考えたり工夫したり、失敗す ることを体験してもらうことを目的としているのです。
パラシュートが作れることは、人生にとって、それほど大きな意味はありません。
しかし、工夫して考える力、そして失敗を恐れずに挑戦できる精神は、人生にとって大きな可能性を与えてくれます。
そんな材料として、パラシュート設計図を利用いただけたらとてもうれしいです。