風船による宇宙撮影は原理はとても簡単です。
どういう過程を経て、気球は宇宙に行って帰ってくるのか。
その一連の流れを解説します。
■動画による解説
■文書による解説
上の動画がうまく視聴できない方のために文章にしたのが以下です。
まずは打ち上げ。
手を放し空に放つだけです。
この時の気球の直径は1m~2m程度。
風船の中にはヘリウムを入れます。
このヘリウムの浮力で上昇していきます。
速度は自転車くらい。
◆地上付近から高度8,000mくらいまでの上昇
風まかせで流されながら上昇していきます。
地上付近の風は日によって違います。
上昇していくにつれ、空気が薄くなっていきます。
そのため、どんどん風船は巨大化していきます。
100m上昇するごとに0.6度ずつ温度が下がっていきます。
上がれば上がるほど寒くなっていきます。
高度8,000m~12,000m付近はジェット気流が吹き荒れています。
速度が冬場だと時速300km近くまで達します。
この高度を早く抜けないと、ものすごく遠くまで気球が流されてしまいます。
気温も低下。
マイナス65度になることも。
極低温環境です。
◆ジェット気流に流される
風船の上昇速度には限界があるので、どうしてもジェット気流には流されてしまいます。
大体100㎞位流されます。
ここで必ず、すごく遠くまで流されるので、気球の回収が大変なんです。
流されながら上昇していきます。
◆空気のない宇宙の世界へ
ジェット気流を超えるとほとんど無風になります。
空気も全然ない空間です。
本当にわずかに空気はあるのですが、地上の100分の1程度。
風船はものすごく巨大化します。
◆破裂
高度30,000m位で風船が破裂。
この時の風船の大きさは、なんと、打ち上げ時の数百倍。
大きくなろうとして耐えられず破裂するんです。
◆落下
空気のない空間での落下では、空気がジャマしないので速度がものすごく出ます。
マッハを超えるくらいの速度が出るんです。
この高さではパラシュートを開こうが、何をしようと無駄。
絶対に速度を殺すことができません。
徐々に落下していき、空気のある15,000m位まで下りてくると減速装置が作用。
急速に減速します。
早いと危ないので、必ず時速20km以下になるように設計しています。
◆着陸
ジェット気流に流され、大気の層を通って気球は帰ってきます。
落下するとGPSが作動し、場所を教えてくれます。
フライト時間は大体2~3時間。
ある程度落ちる位置は事前に予測できているので近場まで向かっておきます。
信号を受け取ったら回収。
感動の再会です。