機体重量と危険性

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安全な機体設計をするためには、物理学の知識が必須です。
物理学といっても、すべてを知っている必要はありません。
運動力学が必要です。
空気中を落下するので、流体力学も知っておくとなお良いでしょう。
ここでは安全性を議論するため、運動力学の基礎の基礎をご説明します。

 

『重さ』と『速度』と『柔らかさ』

安全性を議論するためには、ものすごく乱暴に言ってしまえば、

『重さ』 『速度』 『柔らかさ』

の3点が重要になります。
直観の通りなのですが、重さは軽ければ軽いほど安全で、速度は遅ければ遅いほど安全です。柔ららければ柔らかいほど安全です。
それぞれの要素について、ざっくりとご説明すると・・・

重さは、2倍になれば、2倍危険になります。

速度は、2倍になれば、4倍危険になります。

柔らかさは、2倍柔らかくなれば、2倍安全になります。

このように、危険度・安全度が変わってきます。
しかしながら、地球上には空気があるので、これだけでは安全性の議論をするには不十分です。
そこで問題になってくるのが、『空気抵抗』と『終端速度』です。

 

『空気抵抗』と『終端速度』

空気抵抗は、空気中を移動するときに、空気が邪魔をして、速度を遅くする力のことです。
自転車に乗っているとき向かい風が吹くと、ペダルを一生懸命漕がないと先に進みません。
これは、空気抵抗の仕業です。

空気抵抗は、空気中を移動する物体の、断面積に比例して加わる力です。
空気抵抗は、速度が速いほど、強くかかる性質があります。
また、重さが重いほど、掛かりにくい性質があります。

空気中を長距離落下する場合、地球の重力が引っ張る力と、空気抵抗が釣り合います。
釣り合うと、それ以上速度が上がらなり、一定速度で落ちます。

例えば、雨の日、雨粒が落ちてきますね。
雨粒は、とても高いところから落ちているので、空気がなければ、音速以上の速度で落下するのですが、空気があるので、ゆっくり落ちてきます。

この一定の速度を、『終端速度』と言います。

風船撮影装置の場合、落下してくる距離が長いので、終端速度を求めなくてはなりません。

終端速度は、重さが軽ければ軽いほど、遅くなります。
落下面に対して断面積が大きければ大きいほど、遅くなります。

設計する機体の、空気抵抗と終端速度がどの程度になるかを、求めることが、安全な機体設計の上で、必須になるのです。
ここで、ようやく、安全性の検討ができるようになります。

 

安全性の目安として

以上の、終端速度、重量、面積、柔らかさのための素材選定が、安全性のために必要です。

あくまで設計と安全性の議論のための目安としていただきたいのですが、機体重量は300g、落下面の面積が400cm2、機体素材は発泡スチロール肉厚4cm以上であれば、安全性は高いのではないかと、私は計算しております。

ただ、安全性は、このように設計すれば、絶対に保障されるものではありません。
安全な空域に飛行させること、人口密集地に落下させないことなどの落下に関する保証は、確実に行えるものではありませんので、複数の安全装置を搭載することをご検討ください。

また、電線などに落下しての関電事故を避けること、などなど、落下した後の危険性もあります。それらについても、十分に検討の上、設計し、安全に注意して実施してください。

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About Author

私は日本人で初めて、独力で宇宙開発を成功させました。私の行っている風船宇宙撮影を通して、より多くの人に、宇宙をもっと身近に、そして夢はすぐそこに広がっていることを実感してもらいたいと思っています。

2件のコメント

  1. スペースバルーンを飛ばすにあたって機体の落下地点の特定のためのGPS機能はどのような仕組みですか?

    • しのさま、コメントいただきありがとうございます。
      GPS製品は大まかに言って、2種類あります。
      GPSロガーと、GPS発信機です。
      ロガーは、衛星から測位したGPSデータを記録するものです。これは観測者が身に着けていないとGPSデータを見ることができません。
      発信機は即位したGPSデータを遠隔にいる観測者に届けることができるものです。遠隔から探索できるのが発信機で、こちらを使用しています。
      発信機は電波を利用しているので、電波法に則った使用をしなくてはいけません。
      製品として電波を発することができたとしても、発してはいけない条件など決まっていますので、目ぼしい機材がありましたら、販売元に使用のシーンについてお問い合わせしてくださいね。

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