ふうせん宇宙撮影が関わる法律
ふうせん宇宙撮影(スペースバルーン)の関わる法律は主に民法・電波法・航空法の3つです。民法に関しては事故を起こした場合の賠償に関する事柄であるため、これは保険の加入によって保障されておりますので、ここでは電波法と航空法について詳しく説明いたします。
電波法
国内で風船を使った宇宙撮影を行う場合に問題になってくるのが電波法です。海外ではiPhoneなどのスマートフォンを使用した宇宙撮影が一般的ですが、日本国内ではiPhoneなどを使用することは電波法に抵触するため、使用することができません。詳しくはiPhoneはスペースバルーンに使えるの?を参照ください。
プログラムを入れたり、非承認アプリなどを入れることで電波を制御できるような機能を追加したスマートフォン(無線機)の打上げを行っている団体も存在するようですが、これは無線機器の改造にあたり、違法行為です(総務省判断) スマートフォンを使ったバルーンによる宇宙撮影を合法的に行う方法は皆無ですので、お気を付け下さい。
日本国内で打上げをする場合、日本国内法に準じた装置開発が必要になります。それゆえ日本国内では、海外の模倣では実施できないのです。ふうせん宇宙撮影では国内で合法的に使用できる電波・無線機を使用して打上げ回収を行っております。
航空法
ふうせん宇宙撮影でかかわる航空法は2か所です。
航空法99条の2
何人も、航空交通管制圏、航空交通情報圏、高度変更禁止空域又は航空交通管制区内の特別管制空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのあるロケットの打上げその他の行為(物件の設置及び植栽を除く。)で国土交通省令で定めるものをしてはならない。ただし、国土交通大臣が、当該行為について、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれがないものであると認め、又は公益上必要やむを得ず、かつ、一時的なものであると認めて許可をした場合は、この限りでない。
2 前項の空域以外の空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為(物件の設置及び植栽を除く。)で国土交通省令で定めるものをしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に通報しなければならない。
航空法209条の3
法第99条の2第1項 の航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為で国土交通省令で定めるものは、次の各号に掲げる行為とする。
(1) ロケット、花火、ロックーンその他の物件を 法第99条の2第1項 の空域(当該空域が管制圏又は情報圏である場合にあつては、地表又は水面から150メートル以上の高さの空域及び進入表面、転移表面若しくは水平表面又は 法第56条第1項 の規定により国土交通大臣が指定した延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域に限る。)に打ちあげること。
(2) 気球(玩具用のもの及びこれに類する構造のものを除く。)を前号の空域に放し、又は浮揚させること。
(3) 模型航空機を第1号の空域で飛行させること。
(4) 航空機の集団飛行を第1号の空域で行うこと。
(5) ハンググライダー又はパラグライダーの飛行を第1号の空域で行うこと。
2 法第99条の2第1項 ただし書の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
(1) 氏名、住所及び連絡場所
(2) 当該行為を行う目的
(3) 当該行為の内容並びに当該行為を行う日時及び場所
(4) その他参考となる事項
第209条の4 法第99条の2第2項 の航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為で国土交通省令で定めるものは、次の各号に掲げる行為とする。
(1) ロケット、花火、ロックーンその他の物件を 法第99条の2第2項 の空域のうち次に掲げる空域に打ちあげること。
イ 進入表面、転移表面若しくは水平表面又は 法第56条第1項 の規定により国土交通大臣が指定した延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域
ロ 航空路内の地表又は水面から150メートル以上の高さの空域
ハ 地表又は水面から250メートル以上の高さの空域
(2) 気球(玩具用のもの及びこれに類する構造のものを除く。)を前号の空域に放し、又は浮揚させること。
(3) 模型航空機を第1号の空域で飛行させること。
(4) 航空機の集団飛行を第1号の空域で行うこと。
(5) ハンググライダー又はパラグライダーの飛行を第1号イの空域で行うこと。
2 前項の行為を行おうとする者は、あらかじめ、前条第2項第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を国土交通大臣に通報しなければならない。
申請
航空法99条の2に則り、打上を実施する際には近隣空港の運行情報官と十分な調整を行い、申請書類を提出することで、航空機に対しNORTAMを発行し打上げを実施しています。
また、203条の3の例外事項である気球(玩具用のもの及びこれに類する構造のものを除く。)に該当する場合にもまた、十分な安全を確認した後に打上を実施します。
申請には14日以上の時間が必要であるため、書類作成の時間や調整の時間も含め、遅くとも30日前には実施に向け準備を始めなくてはなりません。
国際民間航空条約
国際民間航空条約(Convention on International Civil Aviation)とは別名シカゴ条約と呼ばれる、国際会議にて採択された条約です。日本国もこの国際条約を批准しているため、装置開発の際には国際民間航空条約に則った装置開発を行わなくてはなりません。
国際条約は国内法より優先度の高い(憲法>条約>法律)ものであると考えられているものであるため、国際民間航空条約の順守も絶対です。
ふうせん宇宙撮影の装置は国際民間航空条約に則り、十分な設計がなされております。
国際民間航空条約についてはこちら