風船は空に上がり、とても冷たい空気に晒されます。
真夏の沖縄といっても、上空ではマイナス80度近くまで冷えることもあるのです。
マイナス80度、身近な寒さではないので比較対象がないのですが、大雑把に言ってしまうと、電子機器は全て動作しなくなります。
原因は寒さによる電池内部の化学反応が低下ことに起因する電圧降下です。
人類の発明したバッテリーはマイナス20度を下回ると電気を出しません。
それよりも、もっと冷えてしまうので、何とか冷えないよう対策をしなくてはなりません。
実際に飛ばす前に、マイナス80度の環境を作りテストをしたいところです。
しかしながら、今回の装置は大きいので、小さな実験槽には入りません。
そこで、大型の実験槽を製作する必要性にかられました。
大型の実験槽を作るためには、精度よく工作できる加工機が必要でした。
ネットで売っていないかなと探してみたのですが、小さなスチロールカッターしか見つからなかったので、仕方ありません、大型の発泡スチロールカッターを製作することにしたのです。
出来上がった大型発泡スチロールカッターがこちら。
刃渡りが100cmあります。
ホームセンターで売っている1800×900mmの大型のスチロール板も一発、ぴったり寸法で切り分けることができる加工機です。
厚みはほとんど制限なく、1000mm程度まで切ろうと思えば切り落とせます。
大工さんなどに需要ありそうな気もするのですが、この手の商品が市場に出回っていないのが不思議です。
画像右下に映っている丸い物体は、ボルトスライダ―。
これで電圧調整をして、加工しやすい温度に調整できます。
この大型スチロールカッターを使えば、例えば大き目のスチロールボックスも、
こんな感じに綺麗に切り落とすことが出来ます。
もちろん本来の目的の、とても長い距離を正確に切るのにも優れます。
この大型スチロールカッターを使って作りたかったのは、今回の装置が丸々入る断熱容器です。
厚さ5cmの分厚いスチロールも、直角に正確に切り落とすことが出来ました。
そして出来上がったのが、サイズ1000×1000×500mmの大型の低温実験槽です。
50mmもの肉厚のある、断熱性能に優れる容器です。
本当は1000mmのキューブにしたかったのですが、取り扱いしにくかったため、半分のサイズに変更しました。
内部に入っているオレンジ色の物体は、機体の試験用モデルです。
断熱容器の各辺は気密性を上げるためシーリングしました。
これを使って、内部を低温ガスで満たせばマイナス80度の環境を作り出せます。
実験のために、装置を作ったり、加工機を作ったりというのは、研究の常です。
そのあたりも楽しいところです。
次回はようやく低温試験です。