無事生還した魚「ベタ」は、キャビンを開いた後も元気に泳いでいました。
キャビンの中でどのように過ごしていたか、確認してみると、なんてことなく元気に泳ぎ回っていました。
宇宙観光中は、こんな感じでした。
上側に写っている地球は、水面に反射された地球です。
魚にとっては、とても快適な旅だったようです。
が、実際のところどうだったのでしょうか。
今回の実験では様々なデータを取得しました。
ベタキャビン内の気圧・温度・三軸加速度・磁気、ベタキャビン外の気圧・温度・三軸加速度・磁気、さらに放射線量、3次元位置情報、機体姿勢のモニタリング、などなど。
これらは、将来の有人化を見据え、たくさんのデータ取得を必要としていたため、組み込まれました。
ベタにとってどの程度快適だったか確認するため、キャビン内外の気圧・温度差を比較することにしました。
取得されたデータは数十万行。
ひと昔前ならプロットするのも大変ですが、コンピューターの恩恵のお陰で、こんなグラフが作れるなんて、良い時代です。
まずは温度変化です。
キャビン外の機材が格納されている場所の温度変化は10度程度ありましたが、ベタのキャビン内の温度変化はわずか2度であったことが分かりました。
この日の外気温はマイナス80度近かったことを考えても、これはやはり快適な温度変化であったと言えます。
この程度の温度変化であれば、家の水槽で飼われている時よりも温度変化は緩やかな程度です。
最も心配していた温度変化は、小さく抑えることができたことが分かりました。
次いで、圧力変化です。
圧力変化を確認すると、ベタキャビン内の圧力はほぼ下がっていないことが判明しました。
この減圧具合は、飛行機や新幹線に乗った場合の圧力変化よりはるかに小さいので、とても快適な旅だったといえます。
むしろ飛行終了後の方が若干圧力が上がっている、という結果も見えました。
なぜこのようなことが起きたのか。それは、キャビン内側に使用した発泡剤から空気が漏れだしただめであると考えられます。
兎も角、圧力・温度を確認する限り、魚にとって安全で快適な旅であったことが分かりました。
その他、大量のデータを取得していますので、今後解析を進めたいと思います。