2018年6月21日に実施した、100号機の生物実験装置では、4Kの360度VRカメラを搭載していました。
これは、バルーンがどのように飛行しているかを確認するためのものでした。
飛行の最初から最後までの全てが記録されていましたので、公開いたします!
PCでご覧の方は、動画左上のアイコンでグリグリと360度を確認できます。
スマホを利用の方は、youtubeアプリを使用すれば、VRを試すことが出来ます。
オキュラスなどのVRメガネをお持ちの方は、youtubeのVRメガネ用の機能を使えば、VRを試せます。
以下、動画の解説です。
こちらが、飛ばす直前の様子。
オレンジ色の物体が、生物が格納されたキャビンです。
黒色の布は、バルーン等を準備するスペースです。
3本転がっている鼠色の物体は、ヘリウムボンベです。
空に放たれたバルーンはかなりの速度で上昇していきます。
白い物体がバルーン、そして下に見える青い物体が降下用のパラシュートです。
上に見える黒と青の物体は、バルーンとパラシュートを切離しを地上からの指令で遠隔で行うことができる、切離しシステムです。
バルーンは打上現場の宮古島を離れ、どんどん上昇していきます。
1分間に400~500mの上昇速度でした。
僅か数十分で、あっという間に、宇宙と地球の境界が見える高さまでやってきました。
この高さでは、地球の大気は殆どありません。
そのため、昼間でも空気の色を無視して、宇宙を見ることができるのです。
今回のカメラでは、様々なデータも計測していました。
加速度や速度、温度や気圧、高度、勾配、移動パスなどです。
全天周カメラなので、地球を丸く見渡すことができるのも面白いところです。
バルーンの一挙一動を全て記録できるのは、開発としてとても参考になります。
パラシュートが釣り下がっていますが、これは本来上にあるべきものでした。
しかし、打上時のトラブルで外れてしまい、下側を向いてしまったのでした。
次回以降はパラシュートの取り付け方法が課題として残りました。
最高高度付近。
映像内の表記は20153mとなっていますが、これはこの計測器に取り付けられているGPSチップに高度制限がかかっているためです。
実際の高度は、25392mでした。
GPSチップに高度制限がかかっている理由はいくつかあります。
これほど高い位置で利用することを想定していないこと、そして、弾道ミサイル等の軍事利用を避けるためなどの理由からチップに制限がかけられているといわれています。
最高高度に達したため、地上からバルーンとキャビンの切り離しの指令を出しました。
指令をすると、直ちに切離しが実行され、バルーンは切り離されました。
地球の引力に引かれ、落下を開始します。
一時的に時速200km程度の速度が出ましたが、これは成層圏気球としては、非常に遅い速度です。
大気の厚い地上付近に接近していくうち、徐々に速度を下げていきます。
キャビンは徐々に速度を下げて、海面に近付いていきます。
落下位置は、事前にコンピューターシミュレーションを行っていた海域です。
この空域に落下することは、2日前に予測を出し、日本国内の航空管制を総括する成田空港事務所とも調整済みでした。
そして、着水。
水しぶきが上がります。
僅か1時間の宇宙への旅でした!
今回飛行にあたり、これまでの気球より綿密な飛行計画と調整が必要でした。
空港や航空管制機関の皆さま、ご協力いただきありがとうございました。
そして、ご協力して下さった皆さまに感謝です。
ありがとうございました。