北海道は想像以上の大自然なので、探索中に様々な野生動物に遭遇します。冗談のようなホントの話です。とりわけ気を付けなくてはいけない野生動物、そして私自身気を付けて、時々肝を冷やしている野生動物について、危険度が低い順に紹介していきましょう。それぞれの生物への対策方法も記載するので心配いりません。では、以下をご覧ください。
危険度 D 赤ダニ
別名宝ダニとも言われています。写真を載せようと思いましたが、見ているだけでかゆくなるのでやめました。虫耐性のある方は、以下のGoogleの画像検索のリンクを踏んでください。
閲覧注意 赤ダニ画像 (苦手な方は踏まないでください)
非常に小さな虫です。野山に入るとどこからともなく引っ付いてきて、完全に駆除することはできません。家に入り込み、ペットなどの血を吸い増えて行きます。ペットが衰弱してしまうこともあるので、注意が必要です。人間にはどうも無害なようです。
対策方法
野山から帰ってきたら、持っていった服を全て洗剤で洗いましょう。靴も洗ってください。そうすれば全て死にます。荷物もしばらく家に入れず天日干しなどしておいてください。
危険度 D エゾシカ
私も2度ほど回収中にエゾシカに遭遇しています。人間が近付くと逃げていく可愛らしい生き物です。なぜ危険な野生動物として紹介しているかというと、それは車との事故です。山道を運転していると、突然エゾジカが現れ、事故が発生してしまうことがあります。猫や犬を轢いてしまうのとは訳が違います。エゾシカと事故を起こすと、人間の方が死んでしまうことすらあるのです。その理由は、大きな角です。この角のお蔭で小さな車ならグチャグチャになってしまいます。見ている分にはとてもかわいいです。
対策方法
安全運転で移動しましょう。
余談
8月頃に札幌大通公園で1個300円程度で、エゾシカバーガーが売られています。エゾシカの肉を使ったハンバーガーです。元は摩周の名産だそうです。札幌にいらした時にはご賞味あれ。
画像引用元 北海道森林管理局
画像引用元 楽天トラベル
危険度 C アブ ブユ
再び虫です。苦手な方もいらっしゃると思うので、虫耐性のある方のみ、以下のGoogleの画像検索のリンクを踏んでください。
閲覧注意 アブ画像 (苦手な方は踏まないでください)
閲覧注意 ブユ画像 (苦手な方は踏まないでください)
山に入るとブンブン寄ってきます。アブやブユは蜂のように紳士ではないので、何もしていなくてもかみついてきます。そしてものすごく痛い。エライ迷惑な虫です。鬱陶しく、そして痛いのですが、しかしながら、命を取られることはありませんから危険度は低いです。
対策方法
あまり効果はありませんが、防虫スプレーと殺虫剤を持っていくと良いでしょう。とは言え、気休め程度です。普通に噛まれます。しかし、心配いりません。死にはしません。
余談
北海道のアブはやたらデカイです。その理由は、無抵抗な豚舎や牛舎の動物から血を吸って育っているから。
危険度 B マダニ(ササダニ)
またもや虫です。山の中には困った虫がいっぱいいますね~ 彼らの王国に勝手に分け入る人間が悪いのですから仕方ありません。マダニは非常に危険な生き物です。どんな生き物か気になるかもしれませんが、物凄く気持ち悪いので、画像は貼りません。虫耐性のある方のみ、以下のGoogleの画像検索のリンクを踏んでください。大事な事なので、今一度繰り返しますが、かなりグロテスクです。URLを閲覧されないことをおすすめします。
閲覧注意 マダニ画像 (苦手な方は踏まないでください)
非常に厄介な生き物で、かみついた場合、マダニの頭が皮膚を破って体の中に侵入します。一度かみついたマダニを取り除く手段はただ一つ。それは外科手術です。皮膚を切り裂かないと取り除くことが出来ないのです。単に手術するだけならまだ良いのですが、マダニは感染症を媒介します。かなり厄介な治癒しにくい病気を持ってきますので、かまれないように注意しなくてはなりません。マダニの生息範囲は日本全国、津々浦々、つまりどこでも会えます。別名ササダニとも呼ばれており、ササに大量にくっ付いていて、ササ原を通る動物にくっ付きかみつきます。その時に付着するマダニの数は数百。服の内側や髪の毛の中に入り込んでしまいます。マダニはかなりヤバイです。身を守るための方法を覚えておかなくてはなりません。
対策方法
噛まれたら必ず病院に行きましょう。自力で取り除こうとすると、マダニの内部にある病原体が逆流し体の中に入ってきます。致命的な事態になりかねませんので、弄らずに必ず病院に行きましょう。暑くても、必ず肌が出ない恰好をして山に入らなくてはいけません。マダニが付いたらガムテープで取り除きましょう。大きな虫なので、視認で駆除できます。仲間とマダニ駆除をしあって下さい。洋服は絶対に室内に持ち込まないでください。熱湯にて消毒した上で、洗剤で洗ってください。身体はシャワーと入浴で洗い流してください。長時間浸からなくてはいけません。
リンク 国立感染症件空所 マダニ対策
余談
マダニが皮膚を破って侵入する時には痛みを感じません。マダニの唾液に麻酔が含まれているので、ゆっくりと麻酔を練り込みながら皮膚を切開していくからなのです。なので、時間がかかりますので、人間は焦らず徹底的に殲滅作業をすればOK。500匹くらいくっ付いたことがありましたが、一か所も噛まれませんでしたよ。
危険度 B エキノコックス
エキノコックスは寄生虫です。北海道だと野生のキタキツネをたびたび見かけます。私も数十回見かけたことがあります。かなり人間に慣れていて近付いてきますが、絶対に触ってはいけません。エキノコックスは主にキツネを宿主として感染する伝染病です。エキノコックス症は自覚症状がほとんどない病気です。自然に治癒することはありません。自覚症状が出るまでには数年~数十年かかります。放置すれば確実に死にます。
ただちに死ぬわけではないので危険度Bにしておきました。治療方法は、エキノコックスが寄生した肝臓の切除です。発見が遅れ、全身に転移していた場合、助かりません。
対策方法
川の水は絶対に飲んではいけません。手洗いを頻繁に行いましょう。定期的に保健所に行き、検査を受けましょう。
余談
札幌の中心部にある北海道大学でも頻繁にキタキツネを見かけていました。「あれ? 野犬がいるぞ?」とみると、大概キタキツネです。
画像引用元 北海道胆振総合振興局
危険度 A スズメバチ
言わずに知れた、あの巨大な蜂です。山は彼らの王国です。まず、最初に触れておきますが、蜂はとても紳士な生き物です。手当たり次第に攻撃したりしません。スズメバチは巣を守る行動の一環として攻撃するのです。余計に警戒してこちらが攻撃的になると蜂達も攻撃してきます。おとなしくしていましょう。
巣とは写真のようなものですね。この写真の場合、巣が外に露出しているので分かりやすいのですが、大概の場合スズメバチは地中に巣をつくるので、どこに拠点があるのか分かりません。これが危険な原因です。
巣があることが分からずに一定まで近付くと、斥候蜂が飛んできて監視を始めます。斥候蜂が来たら巣が近い印です。すぐに引き返さなくてはなりません。さらに近付くと蜂の数が増えてきます。どんどん増えていきます。これを無視して近づき続けると、蜂達が警告音をならし始めます。カチカチという音です。これ以上近付くと攻撃するぞと警告してきているのです。これをも無視して近付くと、大量の蜂が寄ってたかって総攻撃してきます。体中を刺され、強力なあごで噛み付き、肉が切れます。巣に近付いてはいけないのです。
対策方法
刺された場合、真っ先に病院へ行ってください。救急車を呼べるのであればためらわずに呼んで下さい。一度刺された人間は極めて危険ですので、蜂がいるような場所に近付かない方が良いです。2度目刺された場合15分程度でアナフィラキシーの反応が出て死ぬ可能性がありますので、15分がタイムリミットです。刺されたらただちに逃げ、傷口から毒を出してください。
余談
機体が巣の近くに落下していたらどうするか。一冬置いてから回収に向かいましょう。スズメバチの寿命は1年。巣も1年で放棄されます。
画像引用元 北海道森林管理局
危険度 A マムシ
北海道にもマムシが居ます。山に入った時に、マムシを発見することはほとんど不可能です。落ち葉や枯れ木と色が極めて似ているために、中々見つけることが出来ないのです。もしも見つけることが出来た場合には、石や棒を投げて追い払ってください。
分け入るときには、噛まれても牙が通らないような靴を履いてください。肌の露出も避けた方が安全です。分厚いズボンであれば、かまれたとしても毒が注入される量が大きく減少します。長靴を履いていくとなお安全です。
対策方法
マムシは血清がありますので心配いりません。むしろ焦って動くと危険です。毒が回って死に至ります。冷静に対処して病院に行って血清を投与してもらってください。病院に行けば死ぬことはあまりありません。ただ、病院に行かないと死に至る事が多いです。誰に迷惑を掛けようと関係ありません。必ず病院に行ってください。
画像引用元 北海道森林管理局ブログ
危険度 S ヒグマ
ヒグマは日本では北海道にのみ住む巨大な熊です。オスが体重250~500kg、メスでも100~300kgもあります。人間が襲われたらひとたまりもありません。
森のくまさんなんて歌がありますが、山で熊に遭遇するのは穏やかな事ではありません。冷静に対処することで、死なずに済むこともあるのですが、あくまで可能性の話です。あまりにも危険なので、危険度Sとしました。
近くにヒグマがいると、ものすごい獣臭さがするので分かります。必ず複数人で行動することが重要です。
対策方法
ヒグマと出会ってしまったら覚悟を決めなくてはなりません。近場の場合、確実に助かる保証は全くありません。命が助かるかどうかは、完全に熊の気分次第です。
対策方法は北海道森林管理局にて詳細が記されておりましたので、それを引用することにします。
1. ヒグマ災害を防護するために、下記の事項に留意することとする。
(1)防護器具(ホイッスル、鈴、ラッパ等の鳴り物) により人の所在を知らせ、ヒグマの接近を防ぐこと。
(2)入下山時の対話、作業中の声の掛け合い等はなるべく大声で行うこと。
(3)入下山時、作業中においてはヒグマの足跡、糞などに注意すること。
(4)昼食の残飯、缶詰の空缶等は捨てないこと。
2. 一般的にヒグマの習性として、走って逃げる人を見てヒグマが興奮状態になり追いかけてくること等が知られている。
このため、万一、ヒグマに遭遇した場合は下記事項に留意し冷静に対処することとする。
(1)防護器具による合図を行い、緊急退避をすること。
(2)退避の場合は、持ち物を熊に向けて一つづつ投げながら退避すること。
(3)向かってきた場合は、枝条、鎌の柄等棒状のものを持って熊の前にかざし、チャンスをみて退避すること。
(4)退避の場合は、絶対に横を向いたり、背中をみせないこと。
(5)集団の場合は、一人で飛び出して逃げるのは危険であることから行わないこと。
そもそも、出会わないように努力することが重要です。
余談
昨年、札幌の地下鉄駅のすぐ近くでヒグマが出ました。タクシーの運転手さんが、お客さんが来たと思い車を止めるとヒグマだった、というニュースをやっていました。北海道クオリティーですね。
画像引用元 北海道森林管理局