成層圏上層部38540mまで上昇し、宇宙と地球と太陽を撮影して帰ってきた23号機の写真を一挙公開します!
22号機までは高度30㎞近辺までしか上昇できませんでした。
新しい23号機は40㎞超を目指して設計した最大の機体です。
難しかったことや、新しい工夫など沢山詰まっていますが、小難しい話は後にして、早速写真を見てみましょう!
打上地点はここ。見晴らしのいい、きれいな湾口です。
カモメもいました。
浜辺に準備。左の物体がヘリウムボンベ。
7000リットルの巨大なボンベです。
重さが47.8kgもあるので大人一人では大変。
準備段階を23号機に撮られていたので公開。
さあ、打上です!
風船の影が映ったのは初。新鮮です。
打上直前に機体をおとしてしまったので、四隅に機体構造が写りこんでしまいました。これはほとんどのショットに残ってしました。
風船は分速330mくらいの速度で上昇していきます。
大体自転車と同じくらいの速度。
上の写真は高度200mくらい。
流されながら上昇していきます。
私は追跡開始。
事前予測と、気球から送られてくるGPS情報情報で正確な落下ポイントに向かいます。
風船はどんどん上昇し雲の上へ。
映っている雲は積雲。
羊雲とも呼ばれる代表的な雲です。
どんどん上昇。
地上が遠くなっていきます。
さらに上昇。
おおよそ飛行機が飛ぶ程度の高さです。
なんとなく空が暗くなり、宇宙っぽくなってきました。
でも旅はまだまだここから。
これからが大変です。
雲の出来ない高度まで上がりました。
もう成層圏に突入です!
ここまで上がるともう天気なんて関係ありません。
高度13520m程度。
私の機体設計が悪いのか、成層圏が悪いのか、どうもこの辺の高度はぐらぐら揺れていけません。
もっと上がると安定するので、待っていて下さい。
かなり上がってきたので、映像も安定化。
機体はほとんど揺れません。
成層圏からの宇宙撮影を目的にしているので、成層圏では揺れない設計にしています。
風船は高度30㎞超に到着。
この写真は32km程度の高度です。
石狩川の土砂が日本海に流れている様子が見れてとても面白いです。
この高度からなら計算上は700㎞位遠くまで見ることができる。
ほぼ最高点から見た景色。
ここまで上がると壮観。
目標としていた40㎞には届きませんでしたが、38540mという過去最高高度まで上昇。
この後落下します。
バルーン破裂!
風船が耐えられなくなり炸裂。
バラバラに飛び散ります。
風船の欠片は勢いよく舞い上げられたせいか、遠くに離れて行き、機体は落下。
写真に見える小さい線がバルーンの破片です。
雲のある高度まで戻ってきました。
今度は行きとは違う雲が出ています。
高層雲でしょうか。
高度は11000mくらいです。
眼下の雲の海に突入です。
雲に突入した瞬間。
機体に後ろから太陽光が入り、雲に機体の影が映りました。
これは珍しい!
雲を抜け、徐々に落下。
急速に減速して着陸態勢に入ります。
そして着陸。
安全な防風林の中に降りてくれました。
私はすぐ隣で待機。
計画通りの飛行経路と落下地点でした。
電源は飛行時間約2時間30分の間ずっと動きっぱなし。
新しいバッテリー対策が成功したようです。
即回収。
難しかった点
超高高度を飛行するためにはいくつか課題がありました。
最大の問題がバッテリーです。
40㎞を飛行するためには30㎞から10㎞上昇しなくてはなりませんが、10㎞上昇するためにはおおよそ30分時間がかかります。
この30分が難しいのです。
たかだか30分だろうとお思いでしょうが、高高度ではバッテリーが一気に消費され、長時間撮影が極めて困難です。
大容量の電池を積めば確かにバッテリーは持つのですが、重くなるので高くまで上がらなくなりますし、なにより危険です。
そもそものバッテリー消費の問題が熱によるものなので、熱対策装置を制作し積み込むことで解消することができました。
この23号機の結果を踏まえ、新たに24号機を制作。
24号機は同じ熱対策装置を搭載した、動画撮影機体。
4件のコメント
すばらしい。 日本の若者が頑張っている、本当にすばらしい事です。 私は63歳のRetiredですが、やってみたくなりました。 USAではじめてみようかな?
(US Ohio,Cincinnati 在)
ぜひチャレンジしてみて下さい!
やってみたい、と思った人が挑戦できるように、今年はやり方について詳しく載せていこうと思っています。
面白いです!本も買わせてもらいました!
本を読んで疑問に思ったことなのですが、
「熱対策装置」はどのような仕組みで動いているのでですか?
自分でも-60度で耐えられる容器を作れないのかと設計をしたり試作をしたりしているのですが。。
結構難しいです。
ヒントでもお教えいただければ幸いです。
頑張ってください。応援しています。
YAMAGISHIさま
はじめまして。コメントいただきありがとうございます。
書籍も読んでいただき、とてもうれしいです。応援ありがとうございます!
低温への適応は、低温下で熱を与えること、もしくは、熱を逃がさないこと、ですね。
熱収支がマイナスになりすぎて、計器が動かないことを避ければよいので、手法は色々考えられそうです。
・電気的に加熱してやる
・温度の高いものを保温する
・科学的に熱を発生させる
・太陽光を利用する
等々、いろいろ考えられそうです。
ぜひ、いろいろと試してみてください!