風船宇宙撮影にはいくらくらいかかるの?とよく聞かれます。
私が貧乏学生のころから始めていたので、大した金額はかかりません。
ざっくり言って、10万円程度。
これだけかければ宇宙撮影への挑戦ができます。
全く質の違うものなので比較することが適切でないかも知れませんが、JAXAの大気球実験は何億円、何十億円もかけているプロジェクトなので、1000分の1以下です。
私がものすごく安い費用で打上出来ているのはなぜかというと、5つ理由があります。
1.使用する材料が安いこと。
私の使用する素材は普段生活で使っているものです。
ホームセンターや、家電量販店、スーパー、100円ショップ、手芸屋さんで材料を揃えています。
研究機関は専門の実績のある材料を使ってます。
生活用品は大量生産されているので、とっても安く手に入りますが、専門の材料はそうはいきません。
価格がとんでもなく高いです。
専門の実績ある材料は確かにすばらしいものです。
家庭用では、上空30kmでほとんどの機械が動きません。
風船には色々な装置が必要です。
私は実験して、改造して動かしています。
2.家庭で作れてしまう
装置や機械を作るためには、普通機械屋さんに頼まなくてはなりません。
頼むと、特注で設計してもらって、そこから工作機械で金属を削ったり、溶接をしたりして機械工作をしてもらわなくてはなりません。
機械工作のためには専門知識も入りますし、専門の設備も必要です。
そんなわけで、とってもお金がかかります。
けれども私の作っている機体は、ハサミやカッターナイフで作り、セロテープで接着しているので、設備はなにもいりません。
必要なものは机くらいです。
普通の一般家庭で作れてしまうので、とっても安く出来上がるんです。
3.軽くて小さいこと
研究機関では数百キロという巨大な物体を持ち上げます。
私の機体は数百グラム。
重さは1000分の1程度です。
風船で1000倍のものを持ち上げるためには、1000倍の大きさの風船が必要になります。
私の使っている風船は研究機関のものの1000分の1ですから、とっても安いんです。
4.回収率が高いこと
25000円という金額に機材代金は含んでいません。
何故かと言うと、必ず毎回回収できるからです。
日本は山がちなので、海外に比べて回収するのは極めて困難です。
海外に比べて10倍くらい難しい。
ですが、私は何度も打上をしてきたので、回収するのがうまくなりました。
今では90%以上回収できます。
5.電子機器の技術進歩
個人でも近宇宙まで風船を飛ばし、個人でも宇宙開発ができる時代が来るなんて、私が子供のころには夢にも思いませんでした。
これは電子機器の進歩のおかげです。
昔は個人では到底買うことができなかった装置がほんの数万円で購入できてしまう時代です。
本当に夢のような時代です。
私には電子機器を組む技術はほとんどありません。
けれども、市販品を組み合わせて、ちょっといじれば宇宙撮影を成功させることができる装置が出来上がります。
今後も電子機器の進歩は続くことでしょう。
そうすると、もっともっとできることが増えていくことでしょう。
楽しみで仕方ありません。
話がそれてしまいましたが、風船にも搭載できる、軽くて高機能な装置が格安で手に入るようになったことは大きな理由です。
風船宇宙撮影は金額的にとてもハードルが低いです。
小学生の自由研究でもできてしまう金額です。
ただ、法的な面でハードルが高いのです。
電波法や航空法、そして民法に関する知識なしで打ち上げをすることができません。
そして、法に則って打上をするためには、さらに煩雑な手続きと審査を受けなくてはいけません。
もう少し法的にゆるくなればいいのになと思うのですが、安心と安全のためにはやむを得ないのかもしれません。