風船宇宙撮影を自分自身でもやってみたい!というメッセージを最近高校や中学の学生さんから度々頂きます。
この気持ちに応えたいので、今回トイカメラで撮る空撮ということで、学生さんでもできるであろう、最もお金のかからない風船宇宙撮影へのチャレンジを紹介します。
現在私の制作している機体はかなり高いです。
1台数十万円します。なくすと数十万円がパーです。
この金額では学生さんにはかなり厳しいものがあります。用意できたとしても、なくしてしまったら再起不能です。再起不能になるような実験はすべきではありません。
けれども私が初めから数十万円の機体をは作っていたかというとそんなことはなく、1号機などをみると大したものは作っていません。費用もとても安いです。
1~4号機は全部で5万円くらいで作っていたので、1機あたり1万2500円くらいです。
このくらいの金額だと学生さんでもなんとか捻出できそうです。
この辺りをベースに風船撮影を組み立てていきましょう。
トイカメラで撮る風船空撮
まず、理解して頂きたいのが、風船宇宙撮影はそんなに簡単なことではありません。
やっているのは、風船にカメラを付けて飛ばしているだけですが、多岐にわたる深い知識が必要になります。
宇宙を1回目のチャレンジで撮影するのは殆ど不可能です。
(海外では簡単ですが、日本は地理的に非常に難しいです)
研究員で、気象や物理の深く高度な知識を持ち、工学的な見解を持っている人間が開発しても1回で成功するかどうか怪しいです。
そのような行いなので、学生さんがチャレンジする際は成果を焦らず、まずは地上実験の地道なところから始めないといけません。
まずは、風船で物を飛ばすためにはどうしたらいいかをやってみる必要があります。
私も初めは地上試験から始めました。
1号機は係留風船で、地上から釣り糸で飛んで行かないように押さえながら撮影していました。
リールは高くて買えなかったので、家に置いてあったごみ取り用のコロコロを改造して自作しました。
リールについていれば何回でも打上できます。
何回も打上して、進化させていくことが出来ます。
とても経済的で、効率的です。
使用していたカメラは2000円程度のトイカメラ。
東急ハンズやネットショッピングで売っています。
これなら仮に係留に失敗して飛んで行っても、ちょっとがっかりするだけで済みます。
このカメラを選んだ理由は、ムービーが撮れるカメラだったから。
他に良いものがあったら別のカメラでも構いません。
ただ、軽いカメラをおすすめします。
重いカメラは大量のヘリウムを使わないと上げることができません。
ヘリウムは高価です。
可能な限り軽いカメラを使うことが、経済的な実験につながるのです。
これらを組み合わせて撮影した画像がこちら。
動画をキャプチャしています。
学生でもできる実験は地上実験かよ、と思わないでください。
地道な実験なくして宇宙撮影は不可能です。土台をしっかり作らなくては立派な建物は建てられません。実験も同じです。
大したことない実験だと思うかもしれませんが、実際に自分で目標を設定して、実験を設計して実施すると、色々な困難が見えてきます。
その困難を克服しながらデータを集め、さらに先を目指すことが風船宇宙撮影の真の楽しみです。
まずは自作の風船装置で、それを実際に飛ばすことがとても大変です。
その大変さを乗り越え、他の誰も撮ることが出来なかった航空写真を撮ってみる、そこにきっと感動がありますので、自分の手でチャレンジしてみて下さい!
このサイトをみて、新たな発明家のたまごが生まれることを願っています。
注意事項
なお、実験の際には十分な安全を確認して実施してください。
自分の挑戦のため誰かを傷付け不幸にすることはあってはなりません。人を傷付けた場合は一生かかって責任を果たさなくてはならなくなるでしょう。
事故が発生した場合数千万円の請求は平気でされます。
このことを理解した上で、どれだけの安全を確保しなくてはならないか、十分に考えて行ってください。
風船宇宙撮影を成功させるためにはかなり泥臭い実験と検証を繰り返し、安全対策に改良を重ね、煩わしい手続きや各種省庁との調整などを行わないといけません。
実際の打上や制作は、全体の労力の3%程度です。泥臭い土台部分がかなり大変です。
この点もご理解下さい。