成層圏で割れた風船はどうなるの? 宇宙ゴミ?

4

宇宙を目指して打ち上げた風船は成層圏で破裂します。

宇宙を撮影するために打ち上げたゴム風船。上空で無数の破片になります。さて、この破片はいったいどうなってしまうのか。宇宙のごみになるのか? 地球上に降り注ぐのか? 最終的にはどうなってしまうのか、そのすべてについて解説します。

成層圏は私たちの住んでいる世界とは違いますので、破裂する時の様子は全く違います。

私たちの暮らしている地上では風船は穴が開き、大きな風船の欠片になって破裂します。

しかし成層圏ではバラバラのスパゲッティ状になるのです。

 

成層圏で割れた風船の様子

風船は成層圏ではこのような特殊な割れ方をします。

2014y07m10d_175655894

これは2014年5月に撮影したもの

2014y07m03d_213901310

これは2014年4月北海道

2014y05m18d_111154988

これは2014年関西です

2014y01m06d_172440272

2014年お正月に日本のはずれにて

GP060011.MP4_000291824

2014年4月撮影

GP050007.MP4_000812077

2013年10月日の出撮影です

G00102522013年10月札幌上空にて

破裂シーンはまだまだあるのですが、多すぎると長くなるので今回はこれだけで。

 

飛び散った欠片はどうなるの?

このようにすべての風船がスパゲッティ状に小さな欠片になって飛び散ります。

さて、この飛び散った欠片はどうなるのか。

宇宙に漂い続け宇宙のごみになってしまうのではないか?と心配される方も沢山いらっしゃるようです。

ですが、安心してください。そんなことは有り得ません。

それはなぜか。

まず、宇宙に物体を浮かべようとする場合、相当の速度が必要です。

宇宙まで行けば無条件に無重力という訳ではありませんから、重力に対抗するだけの遠心力が必要です。

詳しくは以前に、宇宙は無重力という大きな誤解ということでまとめましたのでこちらをご参考ください。

風船は速度ゼロで漂っていますから、重力につかまったままです。

30㎞まで上がれるのは浮力があるから。

それも、風船が破裂してしまえば浮力を失うのですから、あとは重力に引かれて落ちてくるだけです。

飛び散った風船の欠片は重力に引かれて落ちる以外の選択肢はないのです。

宇宙に留まり続けるためには膨大な運動エネルギーが必要です。

だからこそ、ロケットで物凄い速度で軌道に投入するのです。

 

 地球上に落ちてきた風船の欠片はどうなるの?

さて、風船の欠片は必ず地球上に降り注ぐのですが、「じゃあ、ごみになってしまうのか?」と心配される方もいらっしゃることでしょう。

これも心配いりません。

私の使用している風船は、天然ゴムでできています。

言葉の通り、天然の素材ですから、自然に分解されます。

おおよそ2週間程度の時間で破裂した風船は自然に還ることができるのです。

これは落ち葉とほとんど同じ時間です。

落ち葉が環境を汚すことを心配する人はいません。この風船もそれと同じですから心配することはないのです。

 

以上、このように地球環境に優しい風船を使用していますことを理解して頂けたら幸いです。

Share.

About Author

私は日本人で初めて、独力で宇宙開発を成功させました。私の行っている風船宇宙撮影を通して、より多くの人に、宇宙をもっと身近に、そして夢はすぐそこに広がっていることを実感してもらいたいと思っています。

4件のコメント

  1. この理屈で言うと、天然ゴムなら投棄しても問題ないってことになるけど
    実際はそうじゃないよね。

    • コメントいただきありがとうございます。
      天然ゴムバルーンであれば投棄にはあたりません。
      天然ゴムのバルーンを不法投棄とするには、法律の観点からみても、社会的な常識からみても相当な無理があります。
      庭木の落ち葉が街にまき散らされ、それを不法投棄と呼ぶことは不可能です。
      気象庁では同様のガス気球を年間数万の数空に放っています。気象庁以外にも世界中で、年間数百万の数を放っています。彼らは観測機器の回収をしていませんが、それらは法的に投棄に当たりません。
      これら活動は、社会・環境的な影響から見ても投棄に当たりません。
      野生動物への影響がバルーンによって引き起こされていますが、それは結婚式などで行われているバルーンリリースによるものです。

      不要になった天然ゴム製の製品を不法に捨てることは投棄に当たります。

      天然ゴム以外のバルーンの場合、落下後の回収が法的に義務付けられていますので、投棄に当たります。
      例えばポリエチレンフィルムの場合、生分解しない物質であるため、必要な措置を講じる義務が発生します。これは法律で定められています。
      日本でいえば大気球実験がこれに当たります。
      実施機関であるJAXAは必ず回収をしています。

  2. とても勉強になります。宇宙に散骨の宇宙葬が話題となっていますが、岩谷さんのお話ですと、遺骨を入れたバルーンが成層圏で破裂した場合、バルーンは少なからず落ちてくるとの事ですが、中の遺骨はどうなるのでしょうか?
    かなり粉々に粉砕した遺骨を投入するらしいのですが、粉も落ちてきてしまうのですか?

    • まにーた様、コメントいただき有賀応ございます。
      ご指摘の宇宙葬は、バルーン宇宙葬のことかと思いますので、その前提でご回答します。
      バルーンが成層圏で破裂すると、全ての破片は必ず地球上に落ちてきます。
      これは科学的な必然で、上空に留まることは万に一つ、いえ億が一つもあり得ません。
      バルーン内部に入れた遺骨もまた、全て地球上に落下します。
      これもまた、科学的必然で例外なく、漏れなく全て落下します。
      落下するのは決して悪いことではなく、同じ宇宙葬でもロケットで衛星軌道に投入する種類もあります。
      この場合だと、上空に留まって落ちてきません。
      なので、スペースデブリとなり、宇宙開発の障害になります。
      宇宙に存在する人工物は通信などで使用する必要最低限としないと、宇宙が利用できなくなってしまうので、落ちてこないというのも困ったものなのです。

Leave A Reply

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください