2連バルーン装置で安定性向上なるか、と開発を始めました。
2連バルーン装置にはさらなる利点もあり、例えばバルーン1個の通常装置であると、1つバルーンが破裂した場合支えを失って落下してしまいます。
しかし、2つあれば1つが割れても墜落はしません。しばらく上空で漂うことができるのです。墜落しない装置、それはさらなる安全性の向上でもあるのです。
さて、実際のところどんな装置を作らなくてはいけないか、具体的に計算してみることにしました。
バルーンは上空で巨大化するので、それが干渉すると気持ちが悪いです。
干渉しないためには、上空のバルーンサイズとシャフトの長さをそろえる必要があって、つまり、
7mのサイズが必要なことが分かりました。
7mというと、随分長いですから、ねじりや曲げの力をしっかり考慮しなくてはいけません。
またバルーンで飛ばしますから、軽さも重要です。
そこで軸は接着剤で固められた薄くて丈夫な織物素材をチョイスしました。
これなら7mあっても数百グラムです。
しかし、7mとは、随分巨大です。
これまでの装置が最大で一辺50cm程度でしたから、ざっと10倍以上。
飛ぶのかなこれ?
このくらいのサイズ感になってくると、完全に飛行船です。
過去の文献などしらべていると、大体同じくらいのサイズの飛行船はあったりします。
飛行船の設計も役立つかもしれません。
ペイロードの搭載箇所は、当初上図のような軸の中心を考えていましたが、未知が多すぎてシャフトへの要求強度がわかりません。
空中分解の可能性を可能な限り減らしたいという考えで、最も負荷の小さいバルーン直下に搭載することにしました。
さて、問題は吊るし方です。
吊るし方は大きく分けて3通り。
1.紐で自由のある形で吊るす
2.軸に直付け(自由あり)
3.軸に直付け(固定)
です。
考えても答えは出てこないので、とりあえず作ってみるのがよかろうと、それぞれ製作して可能性を試してみました。
試してみると、それぞれメリットデメリットがありました。
これは、1の紐で吊るすパターン
仮に軸が振動してもペイロードに軸からの振動が伝わりにくいのがメリット。
落下時の衝撃にも強い形状です。
複雑なので作業性が悪く、飛行中のトラブルも発生しやすいのがデメリット。
パラシュートが絡まりやすいというデメリットもあります。
下図が2・3の軸に直付けするパターン。
自由にするとは、ペイロードは軸を中心に回転する余裕があります。
固定するとは、ペイロードを軸と一体化させ、回転や移動を不可能にすることです。
固定にせよ自由にせよ、この形状のメリットは、作業性の良さとトラブル発生可能性の低さです。
デメリットは、軸の曲げなどの力をペイロードが直に受けること。最悪の場合、軸によって破壊される可能性があること。
固定と自由で変わることと言うと、
自由にした場合は、ペイロード重心が軸から近いので、単振動をするのです。重心距離が短いので、単振動周期が短く、せわしなく振り子運動します。
固定した場合は、軸からの破壊の可能性がさらに上がるデメリットがあります。さらに、落下時の衝撃でも破壊される可能性が上がります。
装置の落下先は海の上です。
これは安全上の理由からです。
海の上での挙動も吊るす形状の判断材料になりそうです。
さっそく実験をしてみることにしました。
しかし、7mものサイズの物体を実験する先、真っ先に浮かんだのは近場の湖でした。
準備をまとめて、猪苗代湖へGO。
まだ桜が割いている時期ですから、ちょっと寒いです。
猪苗代湖に沈めて、装置の挙動を確認することにしたのです。
さっそく製作してきた装置を湖に投げ入れます。
投げ入れは7mではなく半分の3mで実施しました。
まだ春先だけあって、水が冷たい!
着水時の姿勢は様々考えられます。
そこで、様々な姿勢で投げ入れてみました。
投げ入れ後の水面での姿勢が安定するかどうかが最重要ポイントです。
電波は水を通さないので、姿勢が安定しないと、電波を出さない、つまりロストすることになってしまいます。
それだけは避けたいのです。
何度も投げ入れてみると、紐で吊るすパターンの場合、紐が切れてしまったり、それぞれが分離してしまう恐れがあることが分かりました。
結果として、軸に直付けがよさそうだという、おおよその方向性を見て取れました。
検証を追え、息抜きに磐梯山を背景にお花見してから帰りました。
猪苗代、いいところです。
しかし、決まったのはペイロードの吊るし方だけ。
まだまだ山積みの問題が待ち受けています。
さて、次回は協力者との作戦会議です。素材の選定や協力なしにはできないことをどうやって実現していくのか、足並みそろえです。
次回も見ていただけると嬉しいです!